はじめに
倒産の実務は、まさに法律問題のるつぼであり、また取引実務・慣行のるつぼでもあります。M&Aや金融にも大きくかかわり、その対応には広い知見と深い洞察力が要請されます。
倒産法研究会は、このような倒産実務について、初心者から実務経験者まで幅広く研鑽できる場として活動しております。基本的な活動は、毎月第三木曜日午後6時から開催される、原則として会員を対象とする例会において、経験豊かな講師(東京地裁民事20部部総括判事、倒産法研究者、倒産実務家等)による講演を実施し、その後の懇親会にてまた様々な意見交換を行っております。会員数は二弁以外の会員も含め約400名(2024年4月時点)となっており、活発な研究会です。
入会希望の方は、入会前であっても例会に来て頂くことは大歓迎ですので、例会において幹事に対し入会についてご相談下さい。入会申込書をお渡し致します。登録1年未満の方は年会費無料です(登録2年目の方は年会費5000円、それ以外の方は1万円です)。
若手会員向けの活動
若手会員用プログラムとしては、例会を利用して、年に数回、若手研修会を開催しています。例えば、本年7月には、会員が講師となり、「会社更生の超基礎-管財人代理の世界」というテーマで、会社更生実務に関する参考文献、会社更生手続の特徴と流れ(超基礎)、管財人代理等の業務(主に債権者申立事案を前提に)などのわかりやすい解説を行いました。
その他の例会においても、法的倒産手続や私的倒産手続について、第一線での実務を比較的わかりやすく説明してもらえますので、最初は耳慣れない話が多いかもしれませんが、すぐに耳学問にて講師の体験が身につき、実践で大いに役たつことと思います。倒産実務は、まずは個人破産申立てや法人破産申立てから始まると思いますが、さらに3年の弁護士実務経験を経た後は、東京地裁の破産管財人名簿への登録が可能となりますので、破産管財事件に携わることも可能となります。破産管財人になってからの対応などについては、研究会における研鑽が非常に役に立つと思います(そのほか、破産管財人になろうとする弁護士向けの研修としては、倒産法研究会会員が講師となって、破産管財研修を毎年4回実施しております)。
さらに研鑽を深める活動
倒産実務をさらに深く研鑽したいと希望する会員向けに、二ヶ月に一回程度のペースにて、倒産実務の研究会を開催しております。倒産法の研究者をお招きし、法的問題・実務的問題について毎回テーマを決めて検討しております。倒産専門弁護士を目指す方は是非とも参加してみて下さい。
また、これまで「倒産法改正への30講」(2013年、民事法研究会)、「倒産と担保・保証」(2014年、商事法務)、「破産手続書式集(新版)」(2018年、慈学社)を発刊し、本年「担保の基礎と実務Q&A」(きんざい)を発刊しております。このように、研鑽した内容を対外的に公表する活動も行っております。
そのほか、毎年、東京弁護士会、第一東京弁護士会、大阪弁護士会の各倒産法部と共催にてシンポジウムを実施しているほか(このシンポジウムの内容はNBLに掲載されています)、東京地方裁判所民事20部における東京三弁護士会の倒産法部との協議会(年2回開催)への参加を行うなど、裁判所や他の弁護士会との交流も活発に行っております。
さらなる活動について
さらに、年一回、主に温泉地にて合宿を行っております。本年は熱海で実施し、初日の午後前半は、法政大学法学部杉本和士教授から「担保法改正の動向」について、これまでの経過を踏まえ、最新の状況までを講演して頂きました。後半は中堅弁護士による倒産実務におけるヒヤリハット座談会があり、参加者全員の貴重な教訓としました。その後は懇親会、二次会となります。翌日はゴルフコンペがあり、ゴルファーはそちらでさらに研鑽を積み、その他の方はゆっくり観光となります。
倒産実務は法律のるつぼであり、取引実務・慣行のるつぼですので、専門書も多数出ておりますが、専門書に書かれていない実務経験も非常に重要となります。その実務経験を月一回の例会・懇親会を中心とした活動において、先輩弁護士から後輩弁護士に継承していくことは当研究会の第一の使命であると思っております。したがって、倒産を専門としていない事務所の方であっても、倒産弁護士となることに興味がありましたら是非ご参加下さい。