【裁判例紹介】株式会社の取締役が破産法および利息制限法に違反する弁済受領行為を株式会社に行わせた行為について、悪意の任務懈怠行為に当たるとして、会社法429条1項の損害賠償責任が認められた事例

・東京地判令和2年1月20日

・掲載誌:金融法務事情2147(2020.10.10)68頁、金融商事判例No.1657(2023.1.15)13頁

・破産者から、破産法上の否認権行使および利息制限法違反により無効となる弁済を受けた会社の代表取締役は、かかる法令違反に当たる行為をさせないようにすべき善管注意義務・法令遵守義務を負う。

・それにもかかわらず、無効な弁済受領行為を行わせている以上、任務懈怠があったものと評価できる。

・また、破産法162条2項2号による悪意の推定は、会社法429条1項の悪意の推定にも事実上及ぶと考えられるから、悪意または重大な過失により任務懈怠に及んだものと認められ、当該弁済受領行為により破産者に生じた損害を賠償すべき責任を負う。

投稿者 弁護士 菅野 邑斗

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